高齢の認知症疾患を持つ方が、共同生活する場、グループホームで働いていた時のエピソードです。認知症の症状は、その人により、出てくる症状が違います。入居者のAさんは、日時、場所といった認識が出来ない方で、食事を30分前に食べても「まだ、ご飯食べてない」と訴える方です。また、他入居者、職員の名前は、覚えられません。しかし介護職を長年やっていると、認知症を持つ方でも、記憶がつながる瞬間があると思っています。
私は、Aさんに対して「〇〇市から来た、〇〇です。」と必ず自己紹介をしてから、支援に入ることにしました。1年半くらい経過し、いつものように「○○市から来た」と言いかけた所で、Aさんから「○○さんでしょ」と声をかけてくれました。とても嬉しい気持ちになりました。認知症疾患を持つ方でも、記憶がつながる瞬間があり、自分の考えは間違っていなかったと思いました。Aさんの認識では、毎日が職員と初対面だという感覚かもしれません。今でも、自己紹介をしてから支援に入っています。しかしAさんから名前を呼ばれたことは、その1回しかありません。今後も自分がAさんの記憶がつながるきっかけとなるように、これからも支援していきます。
グループホーム青戸